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科目ナンバリングについて
こちらを参照してください。  
講義コード
9834293-1 
授業科目名
都市・環境政策の経済評価 
授業科目名(英字)
Economic Evaluation of Urban and Environmental Policy 
時間割
前期 月曜日 6校時 -
対象年次及び学年
1年次 
担当教員

島根 哲哉

ナンバリングコード・水準
M3 
ナンバリングコード・分野
RPA 
ナンバリングコード・ディプロマ・ ポリシー(DP)
BAX 
ナンバリングコード・提供部局
ナンバリングコード・対象学生
ナンバリングコード・特定プログラムとの対応
ナンバリングコード・授業形態
Lx 
ナンバリングコード・単位数

関連授業科目
経済分析,統計分析,ゲーム理論,地域経済分析,費用便益分析 
履修推奨科目
MBAのための数学セミナー 
学習時間
講義90分×15回+自学自習(準備学習 30時間 + 事後学習 30時間) 
授業の概要
都市開発や環境規制を計画・実施するためには,適切にその成果を評価することが必要です.特に近年は,事実に基づく政策形成の重要性が指摘され,定量的な評価によるエビデンスが重視されるようになってきました.

政策の成果を定量的に評価するためには,対象をモデル化して評価の観点を明らかにすること,評価のために必要な観測項目とその観測方法を検討すること,観測結果を定量的に分析し,政策の成果について統計的な判断を行うことが求められます.

この講義では,まず厚生経済学の基礎的な分析手法を解説します.その上で,いくつかの都市開発や環境問題について経済モデルを適用して,政策により得られる成果を分析する方法を演習を交えて解説します.さらに定量的評価の手法を実証分析の観点から紹介し,調査計画の立案や模擬データセットを用いた分析を課題とすることで,知識の定着を図ります.取り組んだ課題の結果について教室で議論する中で,経済的評価の方法を多面的に検討します.

この講義を通じて,地域の様々な問題を経済モデルを通じて理解すること,政策の効果を定量的評価の方法を身につけることを目指します. 
授業の目的
1. 都市問題や環境問題を経済モデルに基づいて理解できるようになる.
2. データを統計分析することを通じて,都市政策や環境政策の有効性について定量的な分析ができる. 
到達目標
1.部分均衡に基づく厚生分析ができる.(DPの「専門知識・理解」に対応)
2.政策を定量的に評価するための調査計画や分析方法を理解し,その結果を適切に解釈することができる.(DPの「研究能力・応用力」に対応) 
成績評価の方法
小テスト・宿題及び授業への取組み姿勢(50%),最終レポート・発表(50%) 
成績評価の基準
成績の評価は、100点をもって満点とし、秀、優、良及び可を合格とする。各評価基準は次のとおりとする。
 秀(90点以上100点まで)到達目標を極めて高い水準で達成している。
 優(80点以上90点未満)到達目標を高い水準で達成している。
 良(70点以上80点未満)到達目標を標準的な水準で達成している。
 可(60点以上70点未満)到達目標を最低限の水準で達成している。
 不可(60点未満)到達目標を達成していない。
ただし、必要と認める場合は、合格、了及び不合格の評語を用いることができる。その場合の評価基準は次のとおりとする。
 合格又は了 到達目標を達成している。
 不合格  到達目標を達成していない。 
授業計画並びに授業及び学習の方法
【授業計画】
1. ガイダンス

part I: 厚生分析の基礎
2. 需要曲線・供給曲線・市場均衡
3. 費用便益分析・外部性
4. 規制的政策と経済的政策

part II: 都市・環境の定量評価
5. 表明選好アプローチと顕示選好アプローチ
6. ヘドニック法
7. トラベルコスト法
8. CVM(仮想市場法):分析方法
9. CVM:調査の計画と質問紙の設計
10. コンジョイント分析

part III: 因果関係に基づく評価
11. 実験・調査観察・因果関係
12. 差の差の推定
13. マッチング法
14. 内生性と操作変数の利用

15. 最終レポートのプレゼンテーションとディスカッション

ただし,授業の進捗などにより,取り上げる内容を変更する場合があります.

【授業および学習の方法】
授業ではスライドと板書を用いて説明を行います.必要な資料・文献は授業時間中に紹介をします.
複数回,宿題を出して評価をするとともに学習の理解度を確認します.演習や課題に取り組むためにPC(Excel, SPSSを利用)を各自準備してください.

最終レポートでは,仮想的なプロジェクトもしくは政策について調査計画を立案し,この模擬データを分析をした結果を報告するとともに,これを学生相互に評価することを予定しています..

【自学自習のためのアドバイス】
予習が必要な場合には,その都度資料を紹介します.予習・復習に課題を合わせて各回2-3時間程度の学習時間が必要です.
意欲のある学生は,参考書にあげた書籍を通じてさらに理解を深めることを期待します.
授業 2-4回: 参考書 1;
授業 5-10回: 参考書 4;
授業 11-14回: 参考書 7, 8;

【授業形態】
この科目は全回対面授業を行います.なお状況によっては全てまたは一部の授業回の授業形態を遠隔へ変更する可能性があります. 
教科書・参考書等
[教科書]
特になし

[参考書]
1. 日引聡・有村俊秀(2023)「入門 環境経済学 新版」中央公論新社,900円.
2. 金本良嗣・藤原徹(2016)「都市経済学 第2版」東洋経済新報社,3,200円.
3. 金本良嗣・蓮池勝人・藤原徹(2006)「政策評価ミクロモデル」東洋経済新報社.
4. 栗山浩一・柘植隆宏・庄子康(2013)「初心者のための環境評価入門」勁草書房,3,200円.
5. 肥田野登編(1999)「環境と行政の経済評価:CVMマニュアル」勁草書房,1,800円.
6. 竹内憲司(1999)「環境評価の政策利用:CVMとトラベルコスト法の有効性」勁草書房,3,000円.
7. 田中隆一(2015)「計量経済学の第一歩:実証分析のすすめ」有斐閣,2,000円.
8. 森田果(2014)「実証分析入門:データから「因果関係」を読み解く作法」日本評論社,3,000円.
9. J.アングリスト・J-S.ピスケ(2013)「「ほとんど無害」な計量経済学:応用経済学のための実証分析ガイド」NTT出版,5,600円.
10. 有村俊秀・岩田和之(2011)「環境規制の政策評価:環境経済学の定量的アプローチ」上智大学出版,1,800円.


1 は環境経済学の入門書,2 は都市経済学の教科書です.前者は,コンパクトであり厚生分析の説明がとても読みやすいです.後者は,より広範囲の都市問題について,丁寧に取り扱っています.

3 は費用便益分析の教科書です.実務家向けに手法の具体的な適用方法を実例とともに紹介しています.
4, 5, 6はCVMを中心に環境評価手法を調査の計画から分析結果の評価まで丁寧に解説しています.

7 は計量経済学の現代的な手法を初学者向けに紹介する教科書です.直感的な解説と実証分析での活用例の紹介に加え,充実した演習用のデータを利用して,分析手法を身に付けることができます.8も実証分析で用いられる様々な計量的手法を豊富な分析例とともに平易な言葉で紹介するテキストです.9は大学院レベルの計量経済学テキストとして人気のあるAngrist & Pischke(2009)"Mostly Harmless Econometrics"の邦訳です.軽妙な語り口で近年重視される「因果推論」の考え方に基づく手法を丁寧に説明しています.

10 は著者らが行った定量的評価の例がわかりやすく紹介されており,定量評価の有用性と重要性を実感できます. 
オフィスアワー
授業後30分
島根研究室:南4号館3階 e-mail: shimane.tetsuya@kagawa-u.ac.jp 
履修上の注意・担当教員からのメッセージ
特になし 
参照ホームページ
メールアドレス
shimane.tetsuya@kagawa-u.ac.jp 
教員の実務経験との関連