シラバス参照

科目ナンバリングについて
こちらを参照してください。  
講義コード
9834292-1 
授業科目名
人的資源管理論 
授業科目名(英字)
Human Resource Management 
時間割
前期後半 火曜日 6校時
前期後半 火曜日 7校時
対象年次及び学年
1年次 
担当教員

吉澤 康代

ナンバリングコード・水準
M3 
ナンバリングコード・分野
BSN 
ナンバリングコード・ディプロマ・ ポリシー(DP)
BAC 
ナンバリングコード・提供部局
ナンバリングコード・対象学生
ナンバリングコード・特定プログラムとの対応
ナンバリングコード・授業形態
Lg 
ナンバリングコード・単位数

関連授業科目
経営管理論、組織行動論 
履修推奨科目
学習時間
講義90分 × 15回 + 自学自習(準備学習 30時間 + 事後学習 30時間) 
授業の概要
【キーワード】人材マネジメント、戦略的人的資源管理
この授業では、組織における「人材マネジメント」の役割と機能を整理し、現在及び将来に向けて人材マネジメントが直面する課題について、理論と実践(ケースや実践者の体験談)を通じて学びます。人材マネジメントの基本的機能は「採用・配属」「昇進・昇格」「能力開発・キャリア開発」「評価・処遇」「福利厚生と健康・安全」と言われ、これらを司るのが「序列」と言われています。これらの機能は経営のカスケーディングと整合性を持ち(垂直統合)、相互に関連している必要があります(水平統合)。人材マネジメントは、組織の「ミッション」「ビジョン」「戦略」「施策」の流れを汲んで運用されることで、経営課題の解決に貢献することができます。それを「戦略的人的資源管理(SHRM:Strategic Human Resource Management)」と言います。この授業は、講義、ケース討議、戦略的人的資源管理についてのグループワークを通じて、戦略的人的資源管理の視点で人材マネジメントの各機能の関連性について理解していきます。 
授業の目的
この授業では、戦略的人的資源管理を理解するために(1)人材マネジメントの全体像、(2)人材マネジメントの基本的機能:「採用・配属」「昇進・昇格」「能力開発・キャリア開発」「評価・処遇」「福利厚生と健康・安全」、(3)人材マネジメントの垂直・水平統合を理解し、戦略的人的資源管理の視点で人材マネジメントの「ミッション」「ビジョン」「戦略」「施策」を考えられる視座・力を身につけることを目的とします。 
到達目標
1.「人材マネジメント」の基本的機能について説明できる。(DP「A専門知識・理解」に対応)
2.経営課題の解決に貢献する戦略的人的資源管理の視点から、人材マネジメントの「ミッション」「ビジョン」「戦略」「施策」を提案することができる。(DP「B研究能力・応用力」「C倫理観・社会的責任」に対応) 
成績評価の方法
授業へのコミットメント(事前準備、クラス発言、事後コメントなど積極的姿勢):40%(到達目標の1、2に対応)
中間レポート:25%(到達目標の1に対応)
期末レポート:35%(到達目標の2に対応)

※「2/3以上の出席」、「中間レポート」と「期末レポート」両方の提出の全てが満たされていない場合は、評価対象になりません。レポートは「締め切り」「字数」が守られていないものは減点となります。課題に適切に応える内容でない場合、論述形式で記述されていないものも減点されます。「引用(参考文献の記載が必要)」ではなく、他の既存文献を複写したものは評価対象になりません。 
成績評価の基準
成績の評価は、100点をもって満点とし、秀、優、良及び可を合格とする。各評価基準は次のとおりとする。
 秀(90点以上100点まで)到達目標を極めて高い水準で達成している。
 優(80点以上90点未満)到達目標を高い水準で達成している。
 良(70点以上80点未満)到達目標を標準的な水準で達成している。
 可(60点以上70点未満)到達目標を最低限の水準で達成している。
 不可(60点未満)到達目標を達成していない。
ただし、必要と認める場合は、合格、了及び不合格の評語を用いることができる。その場合の評価基準は次のとおりとする。
 合格又は了 到達目標を達成している。
 不合格  到達目標を達成していない。 
授業計画並びに授業及び学習の方法
【授業計画】
第1回 ガイダンス(6月11日6限)
「人的資源管理論(HRM)」「人事(HR)の役割」「授業内容(全体の構成・概要、評価方法、ケースメソッドなどについて)」について説明します。「皆さんの問題意識」についても共有します。
※「人的資源管理論」を履修される方は第1回に必ず出席してください。
※第2回で使用する「ライフキャリアチャート」、ケース「江戸切り子の店 華硝」などを配布します。

第2回 モチベーションの理論と実践(1)(6月18日6限)
組織は多様な「人」で構成され、彼らのやる気、モチベーションも多様です。「ライフキャリアチャート」を使って、自分と他者のモチベーションについての理解を深めます。
※「ライフキャリアチャート」を持参してください。

第3回 モチベーションの理論と実践(2)(6月18日7限)
「モチベーション」を理論(モチベーション理論、キャリア理論)から理解し、モチベーション管理とモチベーション開発について検討します。
※「ライフキャリアチャート」を持参してください。

第4回 人材マネジメントの全体像(1)(6月25日6限)
ケースについてグループ討議と全体討議を行います。「人材マネジメント」「人材育成」の全体像について、ケース討議を通じて理解を深めます。
※ケース「GEのタレントマシン:CEOを作る」(約610円)

第5回 人材マネジメントの全体像(2)(6月25日7限)
人材マネジメントにはどのような基本的機能があるのかを整理します。ケースが前提とする欧米組織と典型的な日本組織の違い、経営戦略と人的資源管理の関連についても理解します。
※ケース「GEのタレントマシン:CEOを作る」(約610円)

第6回 人材マネジメントの基本的機能:採用と配属(7月2日6限)
日本における「採用」の変遷と特徴を概観し、「新卒一括採用」の合理性、戦略的採用(採用のフローモデル)などについて理解します。また、近年の採用事例(ネット就活、オンライン・AIの活用など)を取り上げ、多様化する採用方法について検討します。
※第9回戦略的人的資源管理グループワークに向けて「グループ分け」を行います。グループ分けは、検討を希望するケースごとに行います。グループ数、メンバー数は履修者数によって決めます。

第7回 人材マネジメントの基本的機能:昇進・昇格(7月2日7限)
日本組織における特徴的な「昇進・昇格」メカニズムについて、研究論文「日本の人事制度における競争原理(花田、1993)」の討議を通じて理解を深めます。
※研究論文「日本の人事制度における競争原理(花田、1993)」

★中間レポート
課題:「モチベーションの理論と実践」から、(1)自分自身のモチベーションと他者のモチベーションについて学んだこと、新たに気づいたこと、(2)モチベーションの「管理」と「開発」について述べなさい。(2500字以内)
※締め切り:7 月9 日(火)23:59まで
※提出はMoodleファイル(MS-Word or PDF)をアップしてください。
※ファイル名には常用漢字を使用し、外字使用しないでください。

第8回 人材マネジメントの基本的機能:能力開発・キャリア開発(7月9日)
人を育てる仕組みとして「OJTとOff-JT」「キャリア開発やキャリア支援施策」について概観します。また、大人の「学び」として重要とされる「経験(経験学習)」についても理解を深めます。

第9回 戦略的人的資源管理グループワーク(7月9日)
「戦略的人的資源管理」「人的資本経営」「人事の役割」について説明した後、グループに分かれてケースに描かれる組織の経営課題を整理します。グループ発表に向けて「戦略的人的資源管理」を議論します。
※ケース「江戸切り子の店 華硝」(無料)
※ケース「秋田日産自動車」(約506円)
※ケース「A不動産株式会社」(約300円)

第10回 人材マネジメントの基本的機能:評価・処遇(1)(7月16日)
ケースについてグループ討議と全体討議を行います。「業績評価と処遇」の課題について、ケース討議を通じて理解を深めます。
※ケース「やまのうえ保険」(約370円)

第11回 人材マネジメントの基本的機能:評価・処遇(2)(7月16日)
「業績評価と処遇」の基本知識(職能資格、職務等級、コンピテンシー)を整理し、近年見られる「評価」に対する新しい潮流(メンバーシップ型、ジョブ型、ノーレーティング)について理解します。
※ケース「やまのうえ保険」(約370円)

第12回 多様な働き方・キャリア(7月23日)
ケースについてグループ討議と全体討議を行います。「多様な働き方・キャリア」について、ケース討議を通じて理解を深めます。近年、多様な働き方・キャリアの実現を目指して、女性活躍推進の取り組みが進められています。そのジレンマや限界について検討します。
※ ケース「女性活躍推進と地域限定社員」

第13回 人材マネジメントの基本的機能:福利厚生と健康・安全(7月23日)
「働きやすさ」を整備するのも人材マネジメントの重要な役割です。「福利厚生」「安全配慮義務」「メンタルヘルス」「ハラスメント」、そして「働き方改革」「健康経営」について概観します。
or ケースについてグループ討議と全体討議を行います。ケース討議を通じて、障害者雇用、合理的配慮からこぼれてしまう場合や多様な課題や制約を抱えながら働き続ける環境づくりについて検討します。
※ ケース「HIV ポジティブ(A)―職場にエイズ感染者がいた―」(約150円)

第14、15回 戦略的人的資源管理グループ発表+まとめ(7月30日)
グループ毎にケースの「戦略的人的資源管理」を発表してもらいます。(1)人材マネジメントの課題、(2)その課題解決に向けた人的資源管理の「ミッション」「ビジョン」、(3)その「ミッション」「ビジョン」を実現する施策(アクションプラン)の観点から皆で検討します。

★期末レポート:「課題」「締め切り」「提出方法」などは後日授業内でお知らせします

◆以上の授業計画(使用するケースなど)は、履修者(人数、関心テーマ)や進捗状況、内容の理解度などによって変更する可能性があります。

【準備学習及び事後学習のためのアドバイス】
第1~3回(8時間)
「ライフキャリアチャート」の事前準備を行ってから授業にのぞむ。
自分と他者の多様なモチベーションについて理解を深め、実際の職場や組織における部下、同僚、上司と関係において、自分のモチベーション開発と他者のモチベーション開発について検討する。

第4~5回(8時間)
事前にケースを読み、事前設問を提出して授業にのぞむ。
「人材マネジメント」の全体像について理解したことが、実際の職場や組織でどのように展開されているのか、展開されていないのかについて検討する。

第6回(2時間)
実際の職場や組織における「採用・配属」の課題について整理し、授業にのぞむ。
「採用・配属」を支えてきた理論や仕組みの限界を理解し、実際の職場や組織ではどのような改善が可能かを考察する。

第7回(6時間)
事前に研究論文を読み、事前設問を提出して授業にのぞむ。
日本組織における「昇進・昇格メカニズム」の特徴を理解し、実際の職場や組織においてどのように展開されているのか、展開されていないのかについて考察する。

第8回(2時間)
実際の職場や組織における「能力開発」「キャリア開発」の課題について整理し、授業にのぞむ。
従来型の能力開発システム(OJTやOff-JT)、キャリア開発、キャリア支援について理解し、実際の職場や組織においてどのように展開されているのか、展開されていないのかについて考察する。

第9回(6時間)
事前にケースを読み、事前設問を提出して授業にのぞむ。
グループワークで議論されたことをベースに、文献・事例調査を行い、コンセプトや施策案などを検討する。グループワークで議論されたことをベースに、グループ発表に向けた役割分担や準備などを行う。

第10~11回(8時間)
事前にケースを読み、事前設問を提出して授業にのぞむ。
「評価と処遇」の基本知識を理解し、参考事例の配付資料を読み、実際の職場や組織でどのように運用されているのかを理解する。

第12回(2時間)
実際の職場や組織における「メンタルヘルス」「ハラスメント」の課題について整理し、授業にのぞむ。
「メンタルヘルス」「ハラスメント」などの基本知識を理解し、実際の職場や組織でどのような改善が可能かを考察する。

第13回(6時間)
事前にケースを読み、事前設問を提出して授業にのぞむ。
多様な働き方・キャリアを実現する際に直面するジレンマや限界を理解し、個人と組織がwin-winになるような人事制度を検討する。

第14~15回(12時間)
グループ発表の準備をして授業にのぞむ。
グループ発表及び質疑応答、全体討議やまとめで理解したことを、期末レポートに反映できるように考えを整理する。 
教科書・参考書等
教科書は特に指定しませんが、参考書は以下の通りです。
デイビット・ウルリッチ(1997)『MBAの人材戦略』日本能率協会マネジメントセンター 
※絶版ですが、「人事」に携わる方の基礎が書かれています。
佐藤剛 監修(2007)『グロービスMBA 組織と人材マネジメント』ダイヤモンド社 3,080円
上林憲雄・厨子直之・森田雅也(2013)『経験から学ぶ人的資源管理』有斐閣ブックス 3,900円

キャリア支援、キャリア相談(面談)で悩まれる方は、以下をおすすめします。
花田光世(2013)『「働く居場所」の作り方‐あなたのキャリア相談室人事管理入門』日本経済新聞出版社 1,250円 
オフィスアワー
授業後1時間(南3号館2階) 
※上記以外でも事前にご連絡いただければ随時対応いたします。 
履修上の注意・担当教員からのメッセージ
◆本授業の方法と授業進行のお願い
(1)本授業はグループ討議、クラス討議、ディスカッションを中心に進行します。よって「対面授業」を基本とします。
(2)様々な状況によって「オンライン」での受講を認める場合がありますが、対面で参加される方と遠隔で参加される方との双方向のやり取りに困難さが生じることをご了承ください。

◆本授業では「集団的機密保持契約」をお願いします。
(1)本授業のディスカッション、ペアワーク、グループワークでは、個人的な経験や意見、所属先での経験などを共有します。学生の皆さんが安心して議論できるよう心理的安全の確保から、授業で共有した意見・経験は、授業の中だけにとどめる「集団的機密保持契約」をお願いします。
(2)したがって、本授業をオンラインで実施する場合、授業内容は録画しません。また、個人的に録音・録画等すること、SNS等で共有・拡散することも禁じます。

◆ケースについて
(1)「ケース」は授業内に配布します。一部150~500円強ですが、価格変更の可能性があります。本授業で使用するケースは以下から購入(学術価格)及び複写利用許可を得て入手しています。
  ○日本ケースセンター( https://casecenter.jp/
  ○慶應義塾大学 ビジネス・スクール (https://www.bookpark.ne.jp/kbs/
  ○Harvard Business Publishing Education (https://hbsp.harvard.edu/educator/)
(2)「ケース」はA4で15頁程度です。事前に「設問」を出しますので、ケースを読み、「設問」について考えをまとめ、Moodle経由で提出して授業に参加してください。
(3)「ケース」は読んで学ぶものではありません。ケースの登場人物の立場に立ち、ケースに描かれる状況を分析し、意思決定を検討するためのものです。事前に準備してきたご自身の考えをグループやクラスで共有することで、その考えを更に深化、昇華させることをねらいとしています。

◆Moodleの活用について
「授業資料の配布」「ケースの事前設問の提出」「レポートの提出」などにMoodleを活用します。 
参照ホームページ
メールアドレス
yoshizawa.yasuyo@kagawa-u.ac.jp 
教員の実務経験との関連
民間シンクタンク、大学研究機関にて研究員として勤務した経験があります。国内外の働き方の調査研究、企業の組織風土調査、キャリア研修等に携わった実務経験をもとに「組織行動論」「人的資源管理論」等を担当します。