毎年のように繰り返し発生する企業を巡る大事故や不祥事を見るにつけ、「果たして企業経営は進化しているのだろうか」と疑問を抱かざるを得ません。どうしたらこうした事態を未然に防ぐことができるのか、本講座では企業経営を「リスク」の視点から見直し、対策のあり方を検討していきます。 科学技術の発展、国際化の進展、法令・規制の変更など、企業を巡る事業環境の変化は絶えず新たなリスクを増大させており、社会の要求水準の高まりと相俟って、リスクへの対応を誤った企業は予想外の損失を被り企業価値も傷つきます。企業間の競争がますます激化し収益基盤が脆弱になる中、一つの経営の失敗が命取りになる可能性も高まっています。こうした厳しくなる一方の経営環境の中で企業のリスク対応はどうあるべきか、この授業では理論・実務の両面からこれからの企業におけるリスクマネジメントの姿を探っていきます。 具体的には、まず基礎的リスク理論を概観した上で、これまで一般に実践されてきた伝統的なリスクマネジメントや危機管理の手法を習得します。さらに、近時台頭してきた事業リスクマネジメント(Enterprise Risk Management:ERM)の考え方、実践例を学習し、我が国企業の導入状況を検証するとともに、内部統制・BCP( Business Continuity Plan:事業継続計画)などリスクマネジメントに関連して企業実務において要求される課題にも触れていきます。
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