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科目ナンバリングについて
こちらを参照してください。  
講義コード
9834170-1 
授業科目名
地域経済分析 
授業科目名(英字)
Regional Economic Analysis 
時間割
後期 月曜日 7校時 -
対象年次及び学年
1年次 
担当教員

長町 康平

ナンバリングコード・水準
M3 
ナンバリングコード・分野
RPA 
ナンバリングコード・ディプロマ・ ポリシー(DP)
BAX 
ナンバリングコード・提供部局
ナンバリングコード・対象学生
ナンバリングコード・特定プログラムとの対応
ナンバリングコード・授業形態
Lp 
ナンバリングコード・単位数

関連授業科目
経済分析,統計分析,都市・環境政策の経済評価,ゲーム理論 
履修推奨科目
経済分析,統計分析 
学習時間
授業90分×15回+自学自習(準備学習 30時間 + 事後学習 30時間) 
授業の概要
この授業では,地域の経済や経済政策を分析する上で役立つ経済学(特に,都市や交易に関する理論)と因果推論を紹介する.理論に基づく実証(定量的な実証分析)を重視する点,学生報告とディスカッションを通して受講生の研究計画のブラッシュアップを目指す点が特徴である. 
授業の目的
この授業の目的は,地域経済を理解する上で都市という分析の切り口が持つ役割を理解し,都市や都市・地域間関係を分析するための経済学を身につけることである.加えて,経済理論を応用した定量的な実証分析を学ぶことを通して,(i)理論から検証仮説を導出する方法,(ii)定量的な実証分析の方法論,(iii)理論に基づく実証の意義の3つを理解することも授業の重要な目的である.これらの内容は地域経済について理論的・定量的に深く分析する際に必要である. 
到達目標
1. 地域経済を理解する上での都市(分析単位)の重要性を理解する(DP「専門知識・理解」).
2. 都市・地域間の経済的な関係性(都市システムや交易)に関する理論を理解する(DP「専門知識・理解」).
3. 経済理論から検証仮説を導出する方法について,具体例を挙げて説明することができる(DP「研究能力・応用力」).
4. 実証分析で扱う方法論や分析手法について,具体例を挙げて説明することができる(DP「研究能力・応用力」).
5. 自身が関心を持つ地域経済のテーマについての研究計画を整理し,他者に伝えることができる(DP「研究能力・応用力」). 
成績評価の方法
授業に10回以上参加した学生を対象に,次の内容で評価する.

授業への取組み姿勢(学生報告を除く回の発言内容・頻度等)10%,第2回学生報告でのプレゼンテーション(場合によってはレポート)30%,学生報告でのディスカッションへの貢献10%,レポート(論文要約)20%,レポート(研究計画書)30% 
成績評価の基準
成績の評価は、100点をもって満点とし、秀、優、良及び可を合格とする。各評価基準は次のとおりとする。
 秀(90点以上100点まで)到達目標を極めて高い水準で達成している。
 優(80点以上90点未満)到達目標を高い水準で達成している。
 良(70点以上80点未満)到達目標を標準的な水準で達成している。
 可(60点以上70点未満)到達目標を最低限の水準で達成している。
 不可(60点未満)到達目標を達成していない。
ただし、必要と認める場合は、合格、了及び不合格の評語を用いることができる。その場合の評価基準は次のとおりとする。
 合格又は了 到達目標を達成している。
 不合格  到達目標を達成していない。 
授業計画並びに授業及び学習の方法
【授業計画】
本授業では,経済分析を居住地選択(第2回)という身近で重要な問題に応用することから始め,個別都市の分析(第3-6回)や都市・地域間関係(地域の産業構造の決定はこれに含まれる)の分析(第10-13)へと応用する.これら実体経済に関する分析に加えて,第14回では,政策分析への応用例を扱う.さらに,データ分析の実践のために,統計分析ソフト「R」の基礎的な利用方法や初歩的な応用例を紹介する(第7-8回).また,学生自身の研究計画をブラッシュアップするための機会として学生報告(第9, 15回)を予定している.

第1回 イントロダクション
都市を切り口とする本授業のアプローチを紹介をした上で,地域経済の課題について議論する.

第2回 居住地選択
居住地選択の定式化,実証分析の手法と応用例を学ぶ.

第3回 都市が存在する理由
経済活動が地理的に集中する要因を整理する視点を紹介する.

第4回 集積の経済と因果推論
「集積の経済」の実証分析で直面する課題,その課題への対処に必要な因果推論の考え方について学ぶ.

第5回 都市規模の決定
都市人口決定の定式化,都市の盛衰に関する仮説導出,実証分析での応用例について学ぶ.

第6回 都市内土地利用
都市内土地利用や地代の決定の定式化,実証分析の手法(ヘドニック・アプローチ)と応用例を学ぶ.

第7回 Rの基礎
R本体やパッケージのインストール,基本的な操作方法について学ぶ.

第8回 Rの応用
Rを利用して,回帰分析やGISデータ処理等の初歩的な応用例を学ぶ.

第9回 第1回学生報告
学生の研究計画についてのプレゼンテーション.

第10回 都市システム
地域経済政策に重要な含意を持つ都市の人口や産業等の分布に関する経験則を紹介した上で,多数の都市をシステムとして捉える都市システムの視点から経験則を説明するアプローチ(中心地理論)を学ぶ.

第11回 比較優位と交易
産業構造と交易に関する比較優位(リカード,ヘクシャー=オーリン)の考え方を学ぶ.

第12回 集積の経済と交易
産業集積と交易の関係について学ぶ.加えて,シリコンバレーを対象とした,定量的なケース・スタディを紹介する.

第13回 企業と交易
交易について,海外進出といった企業レベルの意思決定の視点から整理する.

第14回 Place-Based Policies
特定地域の経済振興・復興を目的として政策支援を行う政策(Place-Based Policies)の妥当性と政策評価の方法・課題について整理しつつ,中心市街地活性化への応用について学ぶ.

第15回 第2回学生報告
学生の研究計画(学生報告・授業等に基づきブラッシュアップしたもの)についてのプレゼンテーション.

(注)受講者数や授業の進捗状況等によって授業計画を変更する場合がある.第1回学生報告の開催は第9回目の授業を予定しているが,大学のスケジュールや学生の都合を考慮して変更する場合がある.


【授業方法】
この授業はすべての回で対面実施を予定している(ただし,状況に応じて遠隔授業を行う可能性がある).講義形式と学生報告(プレゼンテーションとディスカッション)を組み合わせて行う他,必要に応じてグループワークを行う.講義はプロジェクターと板書を用いて行い,講義スライドは授業前日までにホームページ(Moodle)にアップロードする.授業を補足する動画をMoodleにアップロードする予定であり,授業は補足動画の内容を前提として進める(学習時間(事後学習)に位置付けられる).

また,学生報告での発表回数は各自2回を予定しているが,受講者数に応じて変更する場合がある.特に,受講生が多い場合,学生に資料を事前提出してもらい,優秀なものについてのみ報告してもらうことがある.


【自学自習に関するアドバイス】
第1回 地域経済の課題とみなさんにとっての都市の定義について,事前に準備して授業に挑んでください.

第2回 居住地選択の決定要因について検討した上で授業に挑んでください.授業後は居住地選択の実証分析の手法について復習し,授業で提示する参考文献を読むなどして理解を深めてください.

第3回 経済活動が地理的に集積する要因についてリストアップした上で授業に挑んでください.授業後は,事前に整理した要因が理論にどのように位置づけられるか考察してください.

第4回 検証してみたい因果関係に関する仮説とその検証方法について,事前に考察して授業に挑んでください.授業後は,授業で扱った因果推論の考え方を使って検証方法を整理してみてください.

第5回 都市の成長を促す要因について,事前に仮説を用意して授業に挑んでください.授業後は,その仮説が経済モデルでどのように表現でき,どのような実証分析ができるか,授業の内容を参考に検討してください.

第6回 都市内の土地利用に見られる特徴や外部性について,事前に検討した上で授業に挑んでください.授業後は,それらを経済モデルを使ってどのように解釈できるか,実証分析を実施できるか検討してください.

第7~8回 無料の統計分析ソフト「R」をインストールできるノートPCを用意して授業に参加してください(大学アカウントで学内Wi-Fi利用ができる状態にしておく).授業で紹介するサイトを参考に,自分の手でRを操作して慣れるようにしましょう.

第10~13回 東京と高松の2つの都市圏は何が違うのか,思いつくものをリストアップして授業に挑んでください.授業後は,それらを授業で紹介した理論にどのように位置づけることができるか(できないか)考察してください.

第14回 特定の地域の経済振興・復興を目的とする経済政策の例を1つ挙げて,その政策の妥当性の評価や政策効果の検証を行うための方法について考察した上で授業に挑んでください.授業後は,授業で紹介した経済学の視点を参考に,政策評価・効果検証の方法についてブラッシュアップしてみてください.

 学生報告(第9及び15回)については,研究計画について考える時間を毎週設けること,学生同士で研究計画について議論すること,一から考えるのではなく(自身の問題意識を明確にしつつ)先行研究や授業等を参考にすることが効果的です.

 授業内容を十分理解するためには,参考書やホームページにアップロードされる関連資料を使った予習復習が必要です.

 なお,時間配分の目安は各回(1週間)あたり授業前の予習1時間,授業後の復習1.5時間,学生報告のための文献調査や研究計画の作成1.5時間とします. 
教科書・参考書等
教科書は特に指定しないが,参考書として以下を挙げておく.

佐藤泰裕 (2023) 『都市・地域経済学への招待状(新版)』有斐閣(税込2,200円)
Moretti, E. (2012) The New Geography of Jobs, Houghton Mifflin Harcourt. (池村千秋翻訳 (2014) 『年収は「住むところ」で決まるー雇用とイノベーションの都市経済学』プレジデント社(税込2,200円) 
オフィスアワー
授業後1時間.場所は教室または研究室(状況に応じて対応). 
履修上の注意・担当教員からのメッセージ
1. 授業への積極的な参加と授業を通して自身の問題意識を明確にしていく姿勢が求められます.
2. 前期開講科目「経済分析」と「統計分析」の内容を前提としており,効果的な場合は数式を使用します.
3. プレゼン資料の作成ではPowerPoint等のスライド作成ソフトを,レポート作成ではWord等の文書作成ソフトを利用することが求められます.
4. 統計分析ソフト「R」を用いた演習では,各自持ち込み可能なノートPCにRをインストールすることを前提とします. 
参照ホームページ
Moodleを参照 
メールアドレス
nagamachi.kohei@kagawa-u.ac.jp 
教員の実務経験との関連