わたしたちはグローバルな時代にありながらも同時にローカルな社会に生きている.インターネットがいかに発達したとしても,自宅を建てたり(居住),学校で学んだり(教育),職業に就いたり(労働),病院に行ったり(医療),わたしたちの生活の基盤が地域の社会や経済の上に成り立っていることは変わりない事実である.東日本大震災の経験は,わたしたち一人一人の運命もまた地域の環境や共同体と不可分であることを教えてくれた.わたしたちがよりよい未来を望むならば,身のまわりの地域がどのような特性を持っているのか,いかなる課題に直面しているのかを理解し,持続可能な地域づくりを進めていかなければならない.もちろん,一言で地域的課題と言ってもその内容はさまざまである.大都市地域では人口集中や産業空洞化が叫ばれる一方,「地方」では過疎や人口高齢化などが深刻化し,伝統文化も大きく変容してきている.こうした地域差には,それぞれの地域における地理的・歴史的・文化的な背景の違いが反映されている.この講義では身近な地元である徳島県を取り上げ,さまざまな視点から地域の特性を明らかにし,取り組むべき地域的課題について考察する.
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